2026年9月30日(水) 『御霊舎【M-20】の扉作成』
先祖をお祀りする御霊舎【M-20】では、本体内部に雛壇を組み込んだ後、扉の製作に取りかかります。
まず、扉の柱と長押を加工した部材を組み立て、雛壇の上部へ丁寧に組み込んでいきます。

続いて扉板の加工です。扉板のほぞ側の面を鉋で丸めていきますが、丸鉋で形を整えながら、均一で美しい丸みになるよう慎重に仕上げます。
次に、ほぞを扉穴と同じサイズに合わせる微調整を行います。鑿や、ほぞ穴と同寸で掘った治具を使い、硬さを確かめながら調整します。

ほぞと穴がぴったりすぎても、逆に細すぎても、開閉が固くなったり、ゆるくて扉が鳴らなくなってしまいます。この“ちょうど良い”状態をつくる微妙な調整こそ、職人の手の感覚と経験がものを言う繊細な技です。
調整を終えた扉板を枠と合わせて組み立て、柱・長押を組み上げた部材に組み込みます。最後に幕板を取り付ければ、M-20の扉周りが完成します。
社殿や御霊舎の扉には、開閉の際に音が鳴ることで「神威を感じ、畏敬の念を抱くとともに、音によって祓い清める」という大切な意味があります。 そのため、伊勢宮忠では、熟練した職人が一つひとつの扉を丁寧に調整し、固すぎず、緩すぎず、心地よく部材が”鳴く”よう仕上げています。
ただ開閉するための扉ではなく、“祈りの場を整えるための扉”としてふさわしい音を生み出すための技術が込められているのです。
