2025年6月25日(水) 『お社組立の一部』
お社の組立工程の中で、「あおり板に樋貫を取り付ける作業」をおこなっています。
あおり板とは、屋根の平側に取り付けられる板で、屋根の勾配に沿って設置される部材です。
このあおり板に通される「樋貫」は、神社建築などでも見られる伝統的な意匠です。
水平方向に配されることで、全体の構えに安定感と趣を与えます。

本来、樋貫はあおり板を貫通する構造が基本ですが、神棚である構造上、貫通ではなく意匠として取り付けています。
しかしながら、その加工や取り付けは高い精度と、職人の技術がしっかりと息づいています。
このような細部の部品一つ一つの加工や組立は、すべて職人の手作業で丁寧におこなわれます。

私たちは神棚の製作を単なる「商品づくり」とは考えていません。
神棚は、お客様が日々の感謝や祈りを捧げる神聖な場所となる存在です。
そのため、私たちは一つ一つの神棚に対して誠実に向き合い、心を込めて製作しています。
組立工程では、わずかなズレや歪みが最終的な仕上がりの美しさに直結するため、細心の注意が求められます。
たとえば、樋貫をあおり板に取り付ける作業一つをとっても、木材の状態を見極めながら、ミリ単位での精度を追求しています。

組立作業の現場では、「見えない部分にも決して手を抜かない」という姿勢で作業に向き合っています。
完成後には隠れてしまう部分であっても、職人の手によって丁寧に仕事がされています。これは、神棚を長年にわたり祀っていただくための拘りの工夫であると同時に、職人としての誇りでもあります。
こうした作業には、長年積み重ねてきた技術と経験、そして何よりも「良いものを届けたい」という想いが込められています。
神棚は、暮らしの中で特別な意味を持つ神聖な存在です。その神聖な場を形づくるために、私たちは妥協せず神棚・神具製作を続けています。今回ご紹介した「樋貫の取り付け」も、その神棚全体の中で重要な一工程です。
これからも私たちは一つ一つ丁寧に、そして真心を込めて神棚を作り続けてまいります。