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工場長の製作日記 20ページ目

2008年5月28日(水) G101-45号 高床式

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今回は『G101-45号高床式』木曽桧製をご紹介させていただきます。

宮忠ホームページをご覧いただいて東京の建築会社様からご注文をいただき製作させていただきました。
ここのところお蔭様でずっと忙しくさせていただいておりまして、別注品で時間のかかるお仕事は納期が長くなってしまっているのですが、お話いただいたときにはお祀りいただく日が近く、その日までに納入させていただくのは難しいかと心配しましたが、発注までスムーズに短時間で進めていただき、なんとか間に合わすことが出来ました。納入先が郵便局様でしたので、製作の進捗状況を何回か写真で報告する必要があり、出来上がる順の写真を撮りましたのでご紹介させていただきます。

まず、現場既存の石製宮台に寸法を合わせて神殿の図面を書きます。既存の宮台に神殿を乗せたときに神殿の土台から宮台の天端部分が前後左右にぐるっと同じ空き(間隔)で座るように寸法出しをして作られた土台部分です。(写真1)
このあたりが規格品の有り物でなく、宮忠が得意とする別注品の良さだと思います。土台に穴の開いているところに胴の柱と高欄(コーラン)の束柱(ツカハシラ)をホゾ組にて建てていきます。釘やビスなどは使用しません。

次に胴の柱、屋根の小屋組み部分です。(写真2)
長押(ナゲシ)を組み込む切り欠き、縁板の根太を掛ける穴、胴の囲い板を入れるための小穴(コアナ)、欄干を組み込むための穴や切り欠きなど、柱を丸くする前に刻んでおかなければ丸柱に加工してからでは出来ませんので、一つでも忘れて丸めてしまうと大変なことになってしまいます。この部分の組み立てにも釘やビスは使いません。

次に、今回は時間がないため先に銅板の屋根葺きを平行して進められるように屋根部分から製作していきました。
普段、神棚の屋根部分を良く眺めていただくことは少ないかと思いますが、宮忠の別注神殿には天地方向に並ぶ垂木(タルキ)の上に左右の方向に広小舞(ヒロコマイ)を伏せて、その上に屋根板を取り付けていきます。屋根が完成してしまうと下から覗かなければ見えない部分ですが、こんなところにも手を抜かず細かい仕事がされています。(写真3)

屋根の下地が出来上がりました。銅板に隠れる下地とはいえ隙間がないようにしっかりと作られています。今回はこの見えない部分ですが贅沢にも無地(無節)の板で張り上げられています。(写真4)
いつもですと胴部分、高欄部分を作って最後に銅板屋根を葺いて完成となるのですが今回はこれで時間が稼げます。

今度は胴部分と高欄部分を作ります。
今回の神殿は銅板葺きで屋外にお祀りする神殿ですので、欄干部分は見た目に少しごつく見えますが風雨に一番よく晒され痛みやすい場所ですので、出来るだけ太くしています。また欄干は地覆(ジフク)、平桁(ヒラケタ)、架木(ホコギ)とも儀宝珠(ギボシ)柱と胴の後親柱に組み込んでいます。(写真5)
階段部分を昇る欄干も最近多くなってきている板を刳り抜いたものでなく、地覆、平桁、架木と一本一本別々に曲げ部分を削り出して作ったものを上下の儀宝珠柱に組み込んでいます。中央には束も入れています。この仕事は結構時間のかかる難しい部分です。しっかりと手間を掛けています。

錺(カザリ)金具は手打上物・厚手銅地金本金鍍金金具が付けられここにもこだわりがあります。この錺は京都の錺職人が手作りで仕上げた上物錺金具です。この錺を作るには、手鋏(テハサミ)や鏨(タガネ)を使って形を切り抜く職人さんが形をつくり出します。次に柄を彫る専門の職人さんに渡され手彫りで柄を入れます。彫が出来上がったら今度は鍍金(メッキ)専門の職人さんに渡され完成します。最近はプレスの錺も良い物が出来てきていますがやはり手作りの錺には及びもつきません。彫りの深さや面取りの仕口などやはり味がありますし何より落ち着きが違います。(写真6)

平行して葺いていました銅板屋根も出来上がってきました。(写真7)
この銅板を葺くのも神殿専門に葺き上げている職人さんが手掛けます。神殿の銅板葺き専門の職人さんとは大工さんでいえば一般の大工さんと宮大工さんとの違いのようなもので、神殿独特の細かい作業やいろいろな決まり事に精通していますので出来上がりは綺麗で素晴しいものに仕上がります。

儀宝珠金具・棟持(ムナモチ)柱が最後に組まれて完成です。(写真8)

今回の現場は東京都内でしたので、宮忠工場を午前2時に出発して午前9時に現場到着後すぐ据付作業をさせていただきました。神殿は胴部分と屋根部分の二つに分けて、まず胴部分を宮台に据え付けます。(写真9)
土台の下には水切り板を取り付けています。長年の風雨で神殿の土台が傷まないように工夫しています。10年ほど先には、この水切り板を取り替えるだけで土台まで取替え修理する必要が無くなります。この水きり板には地桧(植林された桧)材を用いています。神殿は木曽桧製ですがこの部分は油分が多く水に強い地桧を使っています。長年の経験ですね。

土台がしっかりと据付できたところで、屋根部分を組み上げて完成です。別注品として一つ一つ確認しながら作らせていただく神殿ですから既存の石製宮台の寸法にぴたっと合っています。オーダーメイドの良さですね。(写真10・11)

今回はご注文下さいました建築会社様が既存宮台の寸法・図面を送って下さり、固定用のボルトの打ち合わせや現場搬入の打ち合わせなど何度も連絡を頂き、密に打ち合わせ下さいましたのでスムーズにぴたりと収めさせて頂く事が出来ました。誠に有り難う御座います。

これからも良い品を作るためにこだわるところはこだわっていきたいと思っています。
製造直売の宮忠だから出来ることが沢山ございます。有り物の寸法で辛抱していただくことはございません。何でもご相談くださいませ。

今回も素晴らしいお仕事をさせていただきありがとうございます。関係者の皆様にお喜びいただけたのが、何より嬉しいことでございます。

工場長の製作日記 20ページ目
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