工場長の製作日記 106ページ目

2025年10月15日(水) 『鉋を使った柱の丸め』


茅葺一社宮 国民神殿型 小〈K-3〉後ろに使用する柱を丸鉋で丸める作業をしています。

まず柱材である四角い角材から鉋で16角形に成形し、丸鉋を使って丸めていきます。使用する丸鉋は、柱の仕上がりの曲率(アール)に合わせて選びます。今回の部材には24mmの丸鉋を使用します。

写真1

写真2


このアールの選定が非常に重要で、柱と鉋のアールが合っていないときれいな円にならず、楕円形になってしまいます。

柱は一本一本、すべて手作業で丸めていきます。鉋掛けを行う前には必ず刃物を研ぎ、切れ味を整えます。刃が鈍く切れの悪い状態のまま作業を行うと、逆目が出て表面がささくれ立ち、仕上がりの美しさが損なわれてしまいます。

写真3

写真4


丸鉋での作業を終えた後、仕上がりがしっかりと真円に近いか、美しく仕上がっているかを確認します。その後、桁と柱を釘で固定し、K-3後柱の作業が完了となります。

写真5

写真6


丸鉋で柱を丸める作業は、平鉋での仕上げ以上に職人の技量が問われます。適切な丸鉋の選定、正確な刃の研ぎ、そして均一な力加減で削る技術 。これらすべてが揃ってはじめて、美しい丸柱に仕上げることができます。たとえ鉋の形状が正しくても、掛け方が不適切であれば、きれいな丸には仕上がりません。

宮忠は職人一人ひとりが日々技術の向上に努め、お客様により良い製品をお届けできるよう鍛錬に努めています。

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